昨年6月に年金改革法案が成立しましたが、多くの国民が現行の年金制度を複雑で 分かりにくいと感じられていると思います。若者を中心に不信感が高まっている現行 制度について、いったいどこに問題があり、今後どう改善しなければならないので しょうか。

政府は年金給付(受取り金額)の水準を現役世代の平均的所得の50%(所得代替率)を確保するとしています。(所得代替率:モデル世帯の標準的な年金額が、現役 世代男性の平均的な手取り月収の何%に当たるかを示す値。サラリーマンなど厚生年 金加入者は現在約59%)

 昨年の年金改革では、この所得代替率を今後20年間で約50%まで下げ、以後その水 準を維持するとしています。本来なら「将来の年金額を月額○○万円にします」と金 額で示した方が私たちには理解しやすいのですが、「物価や人々の生活水準は時代とともに変わり、金額で示してもそれが将来どのぐらいの価値であるのか判りづらい」 との理由で、所得代替率を採用しているというのが厚労省の見解です。

  厚労省が示す「モデル世帯」では、男性の平均的な賃金(現在は年約560万円・税 込)で40年間働いた夫と、同い年で専業主婦の妻という世帯において、平均的な手取り月収を月額39.3万円とし、モデル年金額はこの手取り月収の59.3%(23.3万円)としています。

ところが単身世帯の男性の場合、所得代替率が42.5%、共働き世帯(フルタイムで 40年間勤務)でも46.4%となるなど、すでに50%を割り込み世帯間格差が生じてしまっています。

年金制度への信頼を取り戻す為には、この所得代替率が際限なく下がることへの国民 の不安を払拭させることが重要。

法律で下限を決めるなど将来の給付を政府が約束することが大切です。

「支払いは少なく、もらう額はなるべく多く…」と思うのが人情ですが、サラリーマ ンが掛けている厚生年金保険料の負担は今後上がり続けるのでしょうか。

年金改革関連法では保険料率(現行約14%を会社と折半)を毎年9月に0.354%ずつ引き上げ、2017年(平成29年)9月以降は18.3%で固定することが盛り込まれました。

5年に1回まとめて引き上げる旧来の方式では、保険料負担が一気に大きくなるため未納者が増え批判も多かったことから、過去の反省を踏まえ長期間にわたって事前に法律で保険料の引き上げスケジュールを決めておく方針(毎年小刻みに引き上げる) に変更しました。

上限を明確にすれば現役世代の不安感を少しでも和らげることが出来ると考えたためです。(但し、上限である18.3%までの引き上げが本当に実現するかどうか不確定な要素は残っています。) 今後、少子高齢化がますます進展し人口構造が変化すれば、高齢者世代と若者世代 との世代間不公平は必ず出てきます。

方向性としては、支払う側ともらう側が同じテーブルについて、社会保障の理念である「相互の支え合い、助け合い」という連帯の精神を踏まえ「現役世代がどの程度負担可能か、その時の給付水準がどの程度になるか。」についてまずきちっと議論する必要があります。

若い世代に重い負担を押し付けるのではなく、保険料があまり高くならないよう、 足らない部分は消費税などの税金をうまく組み合わせて保険料負担を緩和することが、現実的であり本来あるべき姿ではないでしょうか。

物価の変動に耐えられるのが消費税というのが通説となっています。景気が変動し ても消費税だけは国民が毎年払い続けていることから年金の財源としては最適です。 ただ注意すべきは、他の財源として勝手に使われないよう消費税を目的税化することが大切です。

そうすれば年金制度を確固たるものにすることが可能になります。 「負担すべき保険料・給付される年金額が適正か」「給付開始時期は今後どうなるか」「財源は十分か」など課題は山積しています。

 わが国を支えてきた世代とこれから支えていく世代が共に協力し合って、新たな時代を切り開いていかなければなりません。しまだは皆様の代弁者として、社会保障制度の確立に向け頑張ってまいります。

 

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